TEAM WorkshopのBenchmark 8に基づくシミュレーションです。
オーステナイト系ステンレス鋼のブロックに矩形のスロットを開けたモデルを用意し、クラックのあるブロックモデルとします(図1)。このブロックの上を差動プローブが移動します。プローブは、円柱形状の内部に誘導ソレノイド1本(直径44 mm)と受容ソレノイド2本(直径10 mm)を入れてモデルとします。受容ソレノイドはホイートストンブリッジの上にあり、したがってプローブが測定する電圧信号は受容ソレノイドの磁束の差に比例します。
TEAM Workshopのベンチマークは、ソレノイドとクラックの相対的な位置関係が何通りも提示され、それぞれに結果を求める必要がありました。したがって、クラックのxy座標を変数で定義しました。
励起ソレノイドは、CST EM STUDIOのコイル機能を用いて定義します。ポスト処理で磁束計算が可能なので、受容ソレノイドの3次元モデルを作成する必要はありません。
微小な信号を検出するプローブは、データ落ちなどによる誤差が生じる可能性があります。この誤差を無くすために、クラックの有無による磁束の差異を各受容ソレノイドについて計算し、「摂動」磁束を算出します。計算された磁束密度を図2?4に示します。
さらに、クラック位置の変化に伴い2本の受容コイルの摂動磁束に生じる差を計算しました。
図5は、プレートから28 mmの距離をクラックに対し平行に移動するソレノイドについて、信号軌道を実数-虚数面上にプロットしたものです。この結果プロットは、測定結果のプロット(図6)と良好な相関を示しています。
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