CST EM STUDIO(CST EMS)を使用したアクチュエータのシミュレーションをご紹介します。CST EMSのモデラー機能で作成した、磁気注入バルブの形状モデルを図1に示します。コイルモデルは、断面の定義をパスに沿って掃引することによりソレノイド形状を形成しました。モデラー機能でモデルを作成するほかに、CADデータをインポートして解析モデルとすることもできます。
シミュレーションでは、部品内部の磁束密度分布とともに、コイル電流と電機子筺体ギャップの関数として導き出されるバルブ電機子の力を求めます。計算には非線形静磁界ソルバーを使用します。非線形静磁界ソルバーには六面体メッシュと四面体メッシュのいずれも使用できますが、このシミュレーションでは六面体メッシュを使用します。四面体メッシュと同様の結果精度が得られるだけでなく、エアギャップのような形状の特異点に対し一貫性のあるメッシュ制御が可能です。
形状モデルの詳細を図2に示します。磁性材質も併せて表示します。ポリゴンを360度掃引して作成した回転体を使用し、コイルモデル(図1に表示)はCST EMSのコイルツールで作成しました。対称形をしていることから、適切な対称条件を設定してシミュレーション時間を1/4に削減することができます。コイルのアンペア回数を変数としてパラメータスイープを行い、電機子の力とギャップの比およびアンペア回数との相関を求めました。
正確なモデリングのためには、材質の磁気的非線形性を考慮する必要があります。実際の測定によるBHカーブを使用して、各材質の特性を定義しました。
エアギャップが0.3mmの場合の、バルブ内の磁束密度(絶対値)プロットを図3に示します。磁場や透磁率分布のような数量も自動的に計算されます。システムのエネルギーや力といった二次的な数量も導き出されます。その他の二次的な数量については、ポストプロセステンプレートを用いて計算することができます。
電機子の力、すなわち電機子のギャップサイズとコイル電流による力の変化も重要な特性です。力はポスト処理の過程で自動的に計算されます。これらの計算結果をひとまとめにして表示したのが図4です。モデル図の、2つの赤いドットで表示しているのがギャップです。ギャップのメッシュラインの数をギャップパラメータとして定義することにより、ギャップ幅の大小にかかわらずメッシュが確実に適切に切られるようにすることができます。この処置により、パラメータスタディを通して連続的な解が得られます。
CST EMSで磁性バルブのシミュレーションを行った事例について、主にモデリング機能とパラメータ機能をご紹介しました。この事例はCST EMSで作成したモデルを使用しましたが、複雑な形状データをインポートして使うことも可能です。インポートモデルは、修正機能とパラメータ機能を用いてパラメータ化することができます。パラメータレンジにわたって力を計算し、形状や励磁が構造特性に及ぼす影響を検証することができます。
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