誘導近接センサーは対象金属体との距離に比例するアナログ信号を受け取って、その位置と大きさと材質を検出します。
誘導センサーはコイルを内蔵した磁気開回路で構成されます。コイルのプロパティ(複素インピーダンスなど)は回路の磁気抵抗に依存します。センサー周辺の金属体が磁気回路に影響し、インピーダンスやコイルのQ値に変化が生じます。電子回路は僅かな変化も検出し、指定の長さ単位に変換します。
センサーの形状は、CST STUDO SUITEのSTEPインターフェイスを通じてインポートされました(図2)。コイルも同様にしてインポートしますが、こちらは簡略化してファセット表現にします。検出対象の金属体モデルはパラメータ化し、センサーとの距離に対応するSパラメータや入力インピーダンスが求められるようにします。
二次四面体メッシュにより形状を離散化し(図3)、CST MW STUDIOの周波数領域ソルバーで電磁界の解を求めます。
さまざまなコンフィギュレーションでセンサーと対象金属体の磁束密度と電流密度を計算した結果を図4、5、6に示します。
複素インピーダンスはSパラメータ(図7: R + jωLと周波数の相関)から直接導出可能です。共振周波数は6MHzとすることができます。
Q値は周波数に対するセンサーの効率を表します(図8)。感度の尺度は下式で与えられます:
Q-SensitivityとQ-Measureを図9に示します。Q-Sensitivityが最大となる100kHz付近が良い作業点です。Q値が一定となる300kHzは、対象との距離が検出できないブラインドスポットとなります。
上記複素インピーダンスに広帯域で適合するセンサーの等価回路を図10に示します。
誘導近接センサーの解析と設計に向けた応用例として、Sパラメータの導出と回路の最適化をまじえた3D電磁界シミュレーションをご紹介しました。
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