ヒートシンクの熱モデル

電子機器設計において熱の管理は避けて通れない問題です。特にパワーエレクトロニクスモジュールやマルチチップモジュール(MCM)、システムオンパッケージ(SOP)の設計では日常的な課題です。ヒートシンクは電子機器が発する熱を周囲環境へ逃がし能動部品と受動部品を守ります。CST MPHYSICS STUDIO(CST MPS)は熱シミュレーションにより熱流と熱分布を求め、可視化することができます。定常熱と過渡熱、どちらのシミュレーションも可能です。

<p>図1: 熱源(Heat source)を上部に置いたヒートシンク</p>

図1: 熱源(Heat source)を上部に置いたヒートシンク

熱源を設定したヒートシンクを図1に示します。ヒートシンクの表面プロパティとして放射率 e(放熱)と伝熱係数h(対流)を定義し、周囲環境との相互作用をモデリングします。自然対流では h = 5 W / (m2.K) が一般的な値です。

<p>図2: 多次元伝熱による定常熱</p>

図2: 多次元伝熱による定常熱

シミュレーションの結果得られた熱流を図2に示します。熱流はヒートシンク内の熱拡散を表し、図3に示す温度分布に関係します(フーリエの法則による)。

<p>図3: ヒートシンクの過渡熱分布。測定位置を強調表示。</p>

図3: ヒートシンクの過渡熱分布。測定位置を強調表示。

図1に示すヒートシンクの熱源を21Wとしてシミュレーションを行い、図3のT1〜T4各点について温度を計算します。その計算結果と共に測定結果を表1に示します。

 T1/℃T2/℃T3/℃T4/℃
シミュレーション65.665.666.671.0
測定66.365.767.869.8

表1: 各点の温度-シミュレーション結果と測定結果の比較

シミュレーションと測定それぞれの不確定要素を考えると、解析結果は測定値に非常に近い値と言えるでしょう。このシミュレーションは四面体メッシュによる定常熱ソルバーを使用し、2分弱で結果を得ました(2.67 GHz、4 GB RAM ノートPC)。

■ 本事例はRobert Bosch GmbHのご厚意により掲載します。

■ 上記解析は連邦教育研究省(Bundesministerium für Bildung und Forschung)の助成を受けて行われました(Solar project: no. 16N10943)。

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株式会社エーイーティー
所在地
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