システムインパッケージ(SiP)のモデリングとシミュレーションをCST MW STUDIO(CST MWS)の時間領域ソルバーで実行した事例です。シミュレーションによってSパラメータと電磁界分布を計算するとともに、10GHzと20GHzのパルス信号ノイズを印加してシステム応答を得ます。基板に実装したSiPを想定して共振による影響の解析も行います。
CDS 社のCADシステムからインポートしたモデルを図1に示します。モデルには銅(損失のある金属)とポリイミド、シリコンを材質とし、ボンドワイヤとスルービアが含まれています。実装基板無しと有りそれぞれの場合についてシミュレーションを行います。
電源ピン(1)と信号ピン(2,3,4,5)それぞれのポートの割り当てを図2に示します。
実装基板無しの場合のSパラメータ結果を図3に示します。10.29GHzに共振があることが確認できます。ノイズ結合係数S31はおよそ-8dBです。
時間領域シミュレーションでは、モニターを定義して指定周波数の電磁界分布を得ることができます。図4は、10GHzにおける表面電流を位相の関数としてアニメーション表示したものです(pdfでは静止画)。この方法によりSiPの電磁特性を観測できます。電界のほか、放射界も同様の可視化が可能です。
SiPシミュレーションの次のステップとして、基板に実装した場合のSパラメータを計算し、基板の影響を観測します。3層の導体層とFR4基板からなる実装基板にマウントしたSiPモデルを図5に示します。SiPとグラウンド層はビアで接続しています。
実装基板の有り無しそれぞれ場合の反射Sパラメータを図6に示します。基板の存在によって共振周波数が10.29GHzから7.7GHzへと低くなり、より急峻になっています。
基板の有無による比較では、いわゆる遠方界モニター機能を使用して、構造から離れた地点における電界強度の計算も行いました。この方法により、前述のSiPパッケージのSI解析に加えてEMC特性の解析も可能となります。図7では、基板に実装することにより電界強度が増加したことが確認できます。この現象は共振する基板の、ほとんどアンテナのようなふるまいが原因で生じます。
CST MW STUDIOの時間領域ソルバーによるSiPシミュレーションの事例をご紹介しました。シミュレーションの結果として広帯域Sパラメータのほか、ユーザーが指定した周波数における電界の出力が可能であることを示しました。このモニター機能を利用して、複数の周波数におけるモニターデータを1回のシミュレーションで得ることができます。
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