TEAM Benchmarkは1985年にANL(Argonne National Laboratory:USA)で始められました。ANLでは翌1986年に一連のワークショップが開始されています。このワークショップの目的は端的に「数値解析とそれに関連するコンピュータコードで電磁界問題を解くことの効率性を示し、予測の信頼性を確認すること。ワークショップではさらに参加者の相互協力を勧め、意見交換を喚起すること」にありました[1]。
TEAM7ベンチマークの問題をCST EM STUDIO(CST EMS)低周波渦電流ソルバーで計算した事例をご紹介します。CST EMSのモデラーで作成した構造モデルを図1に示します。孔の開いたプレートは、直方体から別の直方体を型抜きして作成します。コイルモデルは、矩形カーブで定義した断面をパスカーブに沿ってスイープさせて作成した形状に、丸め処理を施して作成しています。
導体プレートは294 x 294 x 19 mm、導電率3.526e7 S/m、孔の大きさは108 x 108 mmです。コイルはプレートの上部 30 mmに配置し、2472 アンペア回数、50Hzで励起します。駆動電流は位相0度で最大値を取ります。プレートのBフィールドの法線成分を、プレートとコイルの間に定義した測定ライン上で記録します。
導体プレートとコイルのメッシュを図2に示します。四面体メッシュの総数はおよそ327,000です。
上記メッシュにより381,000以上の未知数を含むシミュレーションを、accuracyを1e-6に設定し、Xeon 2.8 GHz、2GBのPCで計算を行い、2分強で結果を得ました。図3と4は、それぞれwt=0とwt=90における渦電流分布のベクトルプロットを示します。
所定の経路に沿う磁束密度の法線成分を図5に示します。
渦電流問題をCST EMSで効率良く計算できることを示しました。モデラー機能で構造モデルを容易に作成し、最新のソルバーアルゴリズムで問題を高速に解くことができます。優れた計算能力を備えたソルバー機能は、膨大な未知数を含む問題やパラメータスタディについても迅速な計算が可能です。
[1] Larry R. Turner, "The TEAM Workshops: A Short History" LS Note 153, Argonne National Laboratory,
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