自動車部品のサプライヤーは設計プロセスにいち早く数値解析を取り入れ、開発サイクルの短縮と生産コストの削減を実現した業種のひとつです。CST EM STUDIO (CST EMS)のような静電磁界シミュレーションツールも製品開発に役立てられています。
本資料では、CST EMSを使用したステッパモータのシミュレーション事例をご紹介します。
開発プロセスにおけるシミュレーションの活用を考える上で、CADデータのインポートは外せません。CST STUDIO SUITEのCADデータインポート機能は自動修復機能を備えています。これを利用して形状データを修正すると共にデータのパラメータ化が可能です。
本事例のステッパモータモデルは、Pro/Engineer®からインポートしたデータをそのまま何も手を加えずにシミュレーションに使用します。今回のシミュレーションは主に、ローター位置をさまざまに変えたときのトルクと角度の相関関係、および鉄材質部分の非線形透磁率の分布の確認のために行いました。
また、コイルの正弦波電流によって誘導される渦電流がシステムに及ぼす影響についても確認します。
非線形静磁界シミュレーションから得られた磁束密度のプロットを図3に示します。プロットにより、鎖交磁束の位置が分かります。また、磁気回路の2つめのブラケットに若干の磁束が通っていることが確認できます。
比透磁率分布を図3に示します。図では飽和に達した領域を確認することができます。
図4に示すトルクと角度の相関は、パラメータスイープによって容易に得られます。インポートしたCADモデルのローター角度は、CST EMSではマウスクリック2回でパラメータ化できます。磁力によりウォームギアの減速率は1:50、ポインタ位置のトルクは約4 mNmです。
同じ計算から、コイルのインダクタンスも得られます。コイルのインダクタンスは、制御系の電子機器を設計するうえで非常に重要な情報です。
本事例のシステムはkHz帯のパルス幅変調器で制御します。従って周波数領域シミュレーションも行い、固定子のプレート上に誘導される渦電流を調べました。さらにエアギャップの磁束密度を観察することによって、渦電流がトルクに及ぼす影響は、無視できるほど軽微であることが分かりました。
以上、複雑なCADモデルを使用した3次元電磁界シミュレーションにより、ステッパモータの電磁特性データを得た事例をご紹介しました。ロータ位置を変化させるパラメータスイープを行い、トルクとインダクタンスを計算しました。また、周波数領域の静磁界シミュレーションにより、渦電流データも得ています。タスクはすべてCST EMSTのグラフィカルユーザーインターフェイスのなかで実行可能です。CADインポート、パラメータ化、ソース定義、ポストプロセスのどれも容易に設定して実行できます。
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