CST STUDIO SUITEは、CST MW STUDIO(CST MWS)の3D電磁界モデルをCST DESIGN STUDIO(CST DS)の回路上で非線形集中定数素子や回路網に接続してダイレクト トランジェントシミュレーションを行うユニークな機能を備えています。この機能を使用して、ステップリカバリダイオード(SRD)パルスジェネレータのシミュレーションを行った事例をご紹介します。
3D電磁界シミュレータと回路シミュレータの間のインターフェイスは、ディスクリートポートにより実装されます。この方法は、サブナノセカンド・パルスジェネレータや増幅率の高い周波数逓倍器などの解析に適します。任意の波形を励起信号として使用することができます。
図1に示すパルスジェネレータは、ヘリカルコイルと2つの集中キャパシタ、およびステップリカバリダイオード(SRD)を含むコプレーナウェイブガイド(CPWG)レイアウトで構成されています。使用しているステップリカバリダイオードSMMD840のSPICEモデルにはSMDパッケージの寄生成分も含まれています。パルスジェネレータの励起は60 MHz高調信号で行います。信号はローパスフィルタ(68 pFキャパシタとヘリカルコイル)を通過し、並列に接続したSRDに達します。SRDの強い非線形性により生じる鋭いピークは、出力側にあるDCブロックキャパシタ(1.5 pF)でフィルタリングされます。
シミュレーションは、DSのトランジェントシミュレーションタスクのメニューの「CST MWS Co-simulation」ボタンで起動します。シミュレーション時間は、「Tmax」パラメータでコントロールします。また、プローブP1とP2で入力信号と出力信号をそれぞれ記録します。さらにDSスケマティックのCST MICROWAVE STUDIOブロックに差動ポートを定義し、3Dモデルで差動接続されたP3?P5のディスクリートポートが正しく扱われるようにします。
入力電圧、入力電流、および出力電圧の波形を図2に示します。
入力信号(60MHz)とモノパルス出力の持続時間の対比がはっきりと分かります。プローブの結果からモノパルスの幅を0.45 nsと読み取ることができます。サブナノセカンドパルスは、電流が順方向から逆方向に変化する時にSRDによって生成されます。ステップリカバリ効果は、電流の導関数の最大近くで発生します(16 ns付近)。
ポストプロセステンプレート(1D Result from 1D result/PSD)を使用して、出力電圧信号の電力スペクトル密度(PSD)を得ることができます。結果プロットからPSDはほぼ1500MHzで最大値となり、増幅率は25(1500MHz / 60 MHz) となることが分かります。
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