6.7GHz同軸ブラッグ反射器の電磁界シミュレーション

ブラッグ反射器(Bragg reflector)は、他の周期構造と同様に遮断帯域特性を示します。市中に出回っているブラッグ反射器は、互いに屈折率の異なる材質からなる多層構造か、または形状特性による摂動をベースとした製品です。本事例では、同軸構造に組み込まれた反射器をご紹介します。反射器は、周期性がほぼ半波長となる周波数での遮断帯域特性を示します。入射波とレイヤの反射波が建設的干渉や相殺的干渉を起こし、その結果として波は構造を通過できずに反射されて入射ポートに戻ります。このブラッグ反射器についてCST MW STUDIO(CST MWS)でモデリングとシミュレーションを行いました。

図 1:反射器の実機とシミュレーションモデル
図 1:反射器の実機とシミュレーションモデル

この構造はモデリングが容易で、時間領域ソルバーの計算時間もごく短いことから、設定を変えて何種類かのシミュレーションを行いました。最適化したのは、10枚のディスクのあるステンレス鋼材質の構造です(図1)。反対側の不要な放射をブロックするために、高出力6.7GHzモノトロン管と共に動作させることを想定しています。したがって、遮断帯域がこの周波数を中心とするように設計する必要があります。CST MWSで作成したモデルを図1に示します。

図2:測定のセットアップ
図2:測定のセットアップ

測定のセットアップを図2に示します。スイープオシレータが構造の一方の端にエネルギーを注入し、四角錐形のホーンアンテナが他方の端で信号を回収します。この2つの終端間のS21を測定します。特定周波数範囲においてエネルギーが遮断される現象を、このSパラメータにより確認することができます。

図3:3つの周波数における3D電界とパワーフロー
図3:3つの周波数における3D電界とパワーフロー

CST MWSの3Dプロットは反射器の効率を可視表示します(図3)。通過帯域の2.0GHzではTEM入射波が反射器を完全に通過しています(左)。10.0 GHzでは一部通過し(右)、遮断帯域中央の6.7 GHzでは入射波は高反射を示します(中央)。

図4:S21:測定結果(実線)とシミュレーション結果(点線)
図4:S21:測定結果(実線)とシミュレーション結果(点線)

まとめ

CST MW STUDIOの時間領域ソルバーによる反射器のシミュレーションをご紹介しました。図4に示す測定結果とシミュレーション結果は良好な相関を示しています。測定結果に見られる遮断帯域外側の2つの共振モード10 GHzと12GHzは、シミュレーション結果でも確認できます。

参考文献

Barroso J.J., Castro P.J., Neto J.P.L. and Pimentel G.L., " Experimental characterization of a 6.7GHz coaxial Bragg reflector", Review of Scientific Instruments, 78, 2007.

会社名
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所在地
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