電気的サイズの大きい(対波長比の大きい)アンテナの解析事例をご紹介します(この事例の設計データと解析結果は仏・Chelton Antennas のご協力とご好意により掲載します)。アンテナの動作周波数8GHzでは、アンテナの直径はおよそ20波長ほどにも及びます。このシミュレーションをCST MW STUDIO(CST MWS)の時間領域ソルバーで行いました。時間領域ソルバーはメモリ効率に優れ、このように電気的サイズの大きい大規模解析に適します。
アンテナの形状モデルを図1に示します。この形状モデルは、放物方程式で定義された断面を360度スイープすることによりディッシュ部分を形成しています。給電部品はCST MWSの円柱形状作成ツールで形成し、誘電率2のテフロンシリンダを埋め込んでいます。さらに、底部にウェイブガイドポートを定義し、この円柱形ウェイブガイドのモード分布が正確に計算されるようにしています。モード分布は内蔵の2D ポート固有モードソルバーにより、自動的に計算されます。アンテナの材質はPEC 、周囲は空気(air)です。モデルは4分の1対称であることから、対称条件を設定することで、シミュレーション時間を4分の1に短縮できます。
給電部の構造を図2に示します。段差のあるコンバータがあり、その前面にリフレクタ素子が見られます。リフレクタ素子はテフロンシリンダに内蔵されています。
シミュレーション結果のSパラメータ(6.5GHz ? 9.6GHz)を図3に示します。このSパラメータは、1回のシミュレーションから得られるアンテナの時間応答を高速フーリエ変換することにより求められます。
CST MWSでは、周波数領域や時間領域のフィールドモニター機能が保存するデータを使用して、アニメーションを作成することができます。図4はアンテナを通る断面上の、電界の近傍界Y成分を示します(8GHz:pdfでは静止画表示)。
図5は、遠方界データのpolarプロットにより指向性を示します。
同様に、偏波を示すpolarプロットを図6に示します。
アンテナモデルに3次元遠方界を重ね合わせたプロットを図7に示します。これ以外にも主偏波(co-polarization)や交差偏波(cross-polarization)の解析結果の遠方界をLudwig 2あるいはLudwig 3座標系で表示することも可能です。
まずはお気軽にご相談ください。
解析目的や現在直面している課題などお聞かせください。