デュアルリッジホーンは広帯域利得の測定基準として広く使用されているアンテナです。 図1は、SATIMO の設計によるデュアルリッジホーンアンテナです。ホーンはコネクタ化されており、末広がりのリッジと側面のバーは、利得と周波数カーブが調和するように設計されています。低周波帯ではバーは閉じた表面のように見え、照準利得が増大します。対照的に、高周波帯ではバーは電気的に透明となり、実効利得は減少します。注意深く設計されたデュアルリッジホーンアンテナは、1GHz ~1.5GHzの帯域で優れた反射損失とcross polarおよび平面利得応答(通常7dBi ~ 15dBi)を示します。
CST MW STUDIO(CST MWS)で上記アンテナのモデルを作成し、シミュレーションを行いました。シミュレーションではアンテナのE面に磁気対称条件を設定し、メッシュ間隔をλ/10とやや粗めにしています。
コネクタの誘電体は無視し、シンプルな構造で近似してあります。また金属部分はPECとみなし、さらにPML (Perfect Matching Layer) 境界条件を使用して計算しています。全解析に要したCPU時間はPentium4.3GHzでおよそ4時間でした。
同じデュアルリッジホーンの測定がSATIMOの球体近傍界設備Stargate64(米アトランタ)で行われました。その様子を図2に示します。測定は周波数範囲800MHz ~ 6GHzで実施されました。
アンテナの基準ポートにおける反射損失の振幅と位相について、各々シミュレーション結果と測定結果を同じグラフ上にプロットしたものを図3に示します。
照準指向性のシミュレーション結果と測定結果を図4に示します。2つのカーブに大変良好な相関があるのが分かります。カーブ間の差異は、測定機器の測定精度誤差の範囲内にとどまっています。
3.6GHzにおける放射分布について、シミュレーション結果と測定結果を図5に示します。左が電界面、右が磁界面です。偏波定義はLudwigIIIによります。2つのカーブは非常に接近しています。これらの結果はCST MWSの広帯域フィールドモニター機能によって得られたものです。CST MWSは離散した周波数において個別にシミュレーションを行うのではなく、1回のシミュレーションで遠方界結果を導出します。内蔵のマクロを使用して、何十という数のモニターを容易に定義することもできます。
アンテナの背面放射は被験体のアンテナと固定装置の結合に影響されて正確に測定するのが困難です。SATIMOのStargateシステムには、被験体アンテナへの干渉を最小限に抑制するように特別に設計されたStyrofoam固定装置が使用されています。シミュレーションによって予想されたバックローブと測定結果には良好な相関が見られ(図5)、測定の正確さが裏付けられる結果となっています。
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