干渉フィルタ

周波数選択性サーフェス(FSS: frequency sensitive surfaces)は高周波コミュニティで注目されている分野のひとつです。FSSは極小のユニットセルが多数配列されたアレイ構造をしています。ユニットセルは(たとえば金属の)極小構造とその周辺の空気部分から構成され、そこに生じる顕微鏡レベルの共振が、構造全体では周波数選択性となって現れます。FSSの一例として干渉フィルタを図1に示します。

図 1:1.11THz 干渉フィルタの顕微鏡写真(部分)
図 1:1.11THz 干渉フィルタの顕微鏡写真(部分)

ホールの直径 d = 168 μm
ホールの間隔 s = 226 μm
材質は金メッキの真鍮 l = 153 μm
有効なエリアの直径は 11mmで、開けられたホールの数は合計約1600個に上ります。

このようなアレイ構造では、構造全体を計算するのは多くのメモリを要し時間もかかります。これとは別に、アレイを模擬する境界条件をユニットセルに設定し、セルのみを計算する方法があります。1図に示す干渉フィルタのユニットセルモデルを図2左に示します。良導体である金(gold)材質は、PEC材質(灰色)に設定て問題なく正確に表現できます。このユニットセルに対してx方向とy方向にmagnetic境界条件とelectric境界条件を設定して無限反復を定義し(図2右)、これによってアレイを表現することができます。

図2:CST MW STUDIOで作成したシミュレーションモデル(左)、境界条件を設定したモデル(右)
図2:CST MW STUDIOで作成したシミュレーションモデル(左)、境界条件を設定したモデル(右)

CST MW STUDIO(CST MWS)による計算を行った結果と、比較対象の測定結果を図3に示します。最初の通過帯域(中央周波数 1300GHz)と2番目の通過帯域(中心周波数 1750GHz)について、両方の結果には良好な相関があることが分かります。

図3:Sパラメータ:シミュレーション結果(左)と測定結果(右)[1]
図3:Sパラメータ:シミュレーション結果(左)と測定結果(右)[1]

CST MWSのシミュレーション結果として電磁界分布も得られます。 2つの伝搬モードの電磁界分布を図4に示します。

図4:電界分布 最初の通過帯域(上:1300GHz)と2 番目の通過帯域(下:1700GHz)
図4:電界分布 最初の通過帯域(上:1300GHz)と2 番目の通過帯域(下:1700GHz)

参考文献

[1] C. Winnewisser, F. Lewen, J. Weinzierl, H. Helm, "Transmission features of frequency-selective components in the far infrared determined by terahertz time-domain spectroscopy.", Applied Optics, Vol. 38, No. 18, pp. 3961-3967, 1999.

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